アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

先日、フェルデンクライスプラクティショナーでクラシックギター奏者の山本依生さんとお話しする機会がありました。

山本さんは過去にフォーカル(局所性)ジストニアを発症され、フェルデンクライスメソッドの学びを通してフォーカルジストニアを克服されています。

フォーカルジストニアとはある動作をする時に、自分の意図と反して不随意で持続的な筋肉収縮を引き起こす神経疾患です。

一定期間内に同じ動作を繰り返す音楽家の方などに多くみられる症状で、現代医療では、改善が難しい難病とされています。

演奏などの特定の場面で筋肉がこわばり、声が出なくなる、指が動かなくなる、目が開けていられないなどの症状が出ます。

色々なお話をさせて頂きましたが、考えていることに驚くほど共通する部分がありました。

今回は山本さんとのお話の中で、特に印象に残ったフォーカルジストニアの改善の参考になる考え方についてお伝えします。

ジストニアは病気ではない

まず共通していたのは、ジストニアは病気ではないという見解です。

ジストニアとは思っている意図と反して、全く違う動きをしてしまう、あるいは思っている通りに動かなくなる症状です。

ですがそもそも演奏する際に全てのことが思っている通りに、出来ているのか?

もしできているのだとすれば既に自分の理想通りの最高の演奏が出来ているはずです。

でもそんな人は世界中一人もいません。

全ての人が最高の技術で思い通りに演奏できるようになる途上にある。

山本さんのその言葉とても印象的でした。

そのように考えるとジストニアからの改善もその向上への過程の一部だと考えることが出来ます。

ジストニアとは学習した動きの習慣である

山本さんはジストニアに限らずあらゆる事が、学習した動きの習慣であるという表現をされていました。

身体に負担のかかる動きの反復の結果が症状となって表れているだけで、それは学習した習慣、癖だと。

僕も全く同意見で、僕の言葉で言うとジストニアを含めどんな動きであっても、それは出来事に対する(身体)反応の仕方が強く表れているものだと考えています。

ジストニアの改善には、この動きの習慣(=身体反応の仕方)を変えるということが必要になります。

最も大切なのは人生観

お話の中で特に印象に残っているのは、「ジストニアの改善に最も大切なことは音楽への向き合い方、人生観だ」と話されていたことです。

音楽をどう捉えているのか?どのように関わっているのか?それが人生に対してどのような意味を持つのか?

この人生観が演奏表現の根本にある。

強迫観念で練習するのではなく、純粋な喜びとして演奏できているか?その音楽との向き合い方が大切だと。

変わり続けること

そしてその人生観、考え方の根底にあるのは幼少期の成功パターンだとおっしゃていました。

繰り返し練習すれば必ず上手くなる。出来なかったことができるようになる。

でもその成功体験の記憶への執着が、変化することへの妨げになります。

ただ闇雲に練習すれば良いわけではなく、大切なことはどのような心と体の質を持って練習するかです。

演奏に対する考え方、意識の向け方、力の使い方は全て繋がっていてそれらのちょっとした方向性のズレが問題を引き起こす原因になります。

この方向性のズレを修正するのが、アレクサンダーテクニーク やフェルデンクライスのような心身に気づきをもたらすメソッドだと思っています。

全てのアーティストが身体に気づきを持ってパフォーマンスをするようになればどんなに素晴らしいか。

そして最後に、「フェルデンクライスやアレクサンダーテクニークのような身体観察を通した気づきをパフォーマンスに活かすということを、全てのアーティストが知ればどんなに素晴らしいか」と。

山本さんもフォーカルジストニアになるまでは、現在のように動きの質や身体に注意を向けて演奏するということはなかったとおっしゃっていました。

でも症状を発症したことで、強制的にそこと向き合わざるを得なくなった。

そして今ではフォーカルジストニアを発症する以前よりはるかに、技術も上達し思い通りに演奏することができるようになったそうです。

まとめ

ここまでお話をしてきたことは、フォーカルジストニアの症状がある方だけでなく、誰の人生にとっても当てはまることです。

フォーカルジストニアは、病気ではない。自分の生き方と向き合うきっかけになるものだと思います。

あらゆる出来事は捉え方次第で、より良い演奏活動、より良く充実した人生を生きることに活かすことが出来ます。

今回、山本さんとお話させて頂き、自分の伝えていることの普遍性を確信しましたし、より多くの人に伝えていきたいと決意を新たにしました。

今後山本さんともお互いの知識や技術を保管し合うような形で協力できると良いなと思います。

山本依生さんのブログ・HPはこちら。

https://enoch.jp/dystonia-recover-process/

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